他の場所にも宿根草は多く植えているのだが、ここは特にイングリッシュガーデン(ボーダーガーデン)を強く志向していて、「手前には背の低い植物を、奥には背の高い植物を……」などのように試行錯誤しているエリアである。
その結果、4年目にしてどうにか自分なりに満足できる状態になってきたので、季節ごとの変遷や、品種紹介などをしてみようと思う。
これから宿根草中心の花壇を作ってみようと考えている方などに、少しでも参考になれば幸いである。
一年草・多年草・宿根草とは
一年草
パンジー・ビオラやペチュニア・ニチニチソウなど、種や苗を植えて1シーズンだけ楽しむ植物。
本来は複数年にわたって育つが、日本の夏の暑さや冬の寒さを越すことが難しいため、園芸店などで「一年草扱い」として流通している多年草もある。
多年草・宿根草
一度植えると、複数年にわたって楽しめる植物。
一年中緑を茂らせている植物もあれば、暑い時期や寒い時期には地上部がなくなって地中の根だけで過ごし、また涼しくなったり暖かくなると芽を出してくる植物もある。
分類上は「一年草」に対する用語は「多年草」だが、園芸的には夏や冬に地上部がなくなるような植物は「宿根草」と呼ばれることが多い。
(このブログでは、「低木」や「球根植物」に分類される植物も、すべてこの多年草・宿根草のカテゴリに入れてしまっています)
イングリッシュガーデンとは
イタリアやフランスで見られるような、整形されたり直線的・対称的にデザインされた庭園に対し、イギリスの農家・田舎の庭がイメージされるような、自然と調和した感じの花壇や庭のこと(自分なりの解釈です)。
様々な形式があるが、代表的なのは「ボーダーガーデン」とよばれる形式で、帯状の花壇に高低差をつけて、奥の方に背の高い植物、手前の方に背の低い植物を配置して、奥行きが感じられるようにデザインされる。
数々の多年草・宿根草のほか、多くはバラも交えて、季節ごとに自然に草木や花を楽しめるような植栽になっていることが多い。
季節ごとの変遷
前置きが長くなったが、現在のわが家の宿根草ガーデンの季節ごとの変遷を見ていく。
このエリアは帯状の花壇ではなく半円形なので、厳密にはボーダーガーデンとは呼ばないかもしれないが、そこはゴリ押すことにする(笑)。
1月下旬
1月下旬の様子。
ちなみに反対側の庭では花壇ブロックを使ってしっかりと花壇を作っているが、こちらは自然に植物が生育している感じにしたかったので、大きめの石で砂利道と区切っている。
写真上の方にクリスマスローズ、中央やや右のあたりにパンジーが咲いている以外は、ほとんどが地上部から姿を消していて寂しい状態。
クリスマスローズの左の葉っぱはラナンキュラス・ラックス、写真左の黒っぽい葉っぱはペンステモン・ダークタワー、写真下の方の茶色の葉っぱはヒューケラ。
2月中旬
2月中旬に入ってもまだまだ寒い日が続いて、ほとんど変わらない状態。
写真左下の方に新しいヒューケラ、ローダンセマム、ネメシアを植えた分が増えた程度の違い。
3月中旬
少し暖かくなってきて、急に地際に緑の葉っぱが見られるようになってきた。
もともと植えていたパンジーやローダンセマム、ノースポールなどの花数も増えている。
4月上旬
そこから1ヶ月で、驚くほど緑が増える!
ラナンキュラス・ラックスの花も咲き出してきた。
右写真のミヤコワスレ(紫花)とビーダンス(黄花)は新しく植えている。
5月中旬
そして、そこから5月までの期間で急激に成長し、花もいっぱいになってくる!
上の写真からわずか1週間後、さらに花が増える!
アラリアサンキングの美しい黄緑の葉や、ベロニカ・フェアリーテイルのピンク色の穂などがリズムを作ってくれている感じがする。
中段のフロックス・フォーエバーピンクも満開で美しい!
何株か追加しているとはいえ、1月の寂しい状態から、ほとんど何もせずに春にはこんな状態になるのが驚きである。
夏および秋の様子
夏の様子
上述の状態から、夏を迎えた8月上旬の様子。
さすがに暑い盛りで花もだいぶ減っているが、写真手前のアラリアサンキングのカラーリーフが眩しいほどなので、だいぶ助かっている。
ネギ坊主のようなアリウムも2か所で変化をつけている。
サルビア・サリーファンやルリマツリも元気に青い花を咲かせている。
初秋(9~10月頃)の様子
夏が過ぎてしばらくすると、花壇前面に植えてあるアスター・ミステリーレディの花が咲き始める。
夏から咲き続けているニチニチソウがまだ頑張っているので、いい感じに共演している。
後ろにはポツポツとだが、サルビアミラージュの花も咲いている。
晩秋(11月頃)の様子
こちらはちょっと時が戻って、昨年の晩秋の様子。
写真上部、砂利道の奥のルリマツリがだいぶ茂りすぎな感じもするが……(笑)。
花壇の奥のアメジストセージやセンニチコウ・ファイヤーワークスが頑張って咲いてくれている。
植えている品種・レイアウトの紹介
この宿根草エリアに植えている品種をすべて紹介。
まずは春の全景から。
上の写真に重ねる形で、品種名を書いてみた。
(写真ではまだ花が咲いていない植物も名前を書いています)
上の画像は植物と名前の関連はわかりやすいものの、実際に植えている株の位置がわかりにくそうなので、花壇のレイアウトを図でも書いてみた!
方角は、図の右が北側。
なので、奥を高くするのは基本として、特に右側の奥(アメジストセージやセンニチコウ・ファイヤーワークス)が高くなるように植えている。
また、図中の赤丸になっているところは、季節の一年草を植えている場所。
(ローダンセマムはまだ夏越し・冬越しに成功していないが、一応多年草とした。また、オルレアは一年草だが、こぼれ種で毎年楽しめるので多年草扱いとしている)
多年草・宿根草は花期が短いものが多く、完全に宿根草だけにしてしまうとやや華やかさに欠けるので、少し一年草を混ぜている。
※ まだすべての植物について個別記事は書けていませんが、すでに書いた分についてはこの記事の最後にリンクを載せておきます。
おわりに
庭づくりを始めた頃から「毎年大量に植え替えるのではなく、なるべく手間いらずで、自然に草花が茂っているような庭」を目指していた。
そして調べているうちにイングリッシュガーデンや多年草・宿根草という概念に出会った。
(それまでは、ガーデニングというのは花壇にパンジーなどの一年草を毎年植え替えるだけのものと思っていた)
植えてはみたものの思うように育たなかったりする植物も多く、そこそこ苦労・試行錯誤したが、4年目にしてようやく自分なりに満足できる宿根草ガーデンになってきた気がする。
自分の経験が、これから宿根草等を用いた庭づくりを始めようとしている方に少しでも役立てば嬉しく思う。
自分もさらに、少しずつ配置を変えたりして改良していきたい。
( ↓ 上記で紹介した品種の個別記事のリンクです)
ライムグリーンの救世主! 1年目のアラリア・サンキング
大きくならずシックな八重咲きアスター! ミステリーレディ
紫の穂が秋冬の庭を賑わす! 1年目のアメジストセージ
こぼれ種から大繁殖! オルレア・グランディフローラが満開!
白花が美しい冬の女王! クリスマスローズ・ニゲル「ジョエル」開花記録
涼やかな青や白の花が長く咲く! サルビア・サリーファン
個性的な花姿が魅力! センニチコウ「ファイヤーワークス」(1年目)
ストライプカラーが斬新! 宿根ネメシア「フェアリーマーブルピンク」
真冬のマーガレット! ノースポール(マーガレットとの違いも解説)
独特な形で競い合うように咲く! バーベナ・ハスタータ「ブルースパイヤー」
サントリーの花苗「ビーダンス」を育ててみた! 手間いらずでふんわり咲く!
ボーダーガーデン中段にピンクの彩りを! フロックス・フォーエバーピンク
ピンクの穂が風に揺れて咲く! ベロニカ・フェアリーテイル
洋風の庭にもなじむ和の情緒! ミヤコワスレ「江戸紫」開花記録
植えっぱなし2年目のラナンキュラス・ラックス「ロティス」、芽吹き~開花の記録
神秘的な青紫の花に吸い込まれる! ルリマツリ(プルンバーゴ)
冬の庭に撫子色の彩り! ローダンセマム・リルピンク
( ↓ 北側や南側の庭全体の庭づくりの変遷・様子はこちらの記事から!)