アルセア、別名はホリホック、またはタチアオイなどとも呼ばれる花がある。
6月くらいになると身長くらいの高さに長い茎を立てて、茎の途中に10~15 cmくらいの花をたくさんつける植物である。
この季節になると、畑の周辺や道端に植えられているのをよく見かける。
その大きさからだいぶ目を引き、車を運転していても「あ、タチアオイだ!」とつい見てしまうので、わき見運転にならないか心配になったりする(笑)。
シンプルな一重咲きのものから、ゴージャスな八重咲きのものまでたくさんの種類があり、特に八重咲きのものは自分にはまるでバラの花が緑の茎にたくさん咲いているように見える。
自分が道端でよく見かけるのははっきりした赤色で一重咲きの品種だが、今回紹介する「アルセア・チャターズピンク」は薄いピンク色の八重咲きで、ラベル写真では本当にバラのように見えて、衝動買いしてしまった。
アルセア・チャターズピンクの特徴と育て方
多年草だが、2〜3年で株が老化するので、ずっと楽しみたければ新しく植える必要があるとのこと。こぼれ種から芽吹いたりもするらしい。
花期
6月~8月
大きさ
植え付けて1年目は、高さ・幅ともに80 cmくらいに株元から葉を茂らせているだけだった。
2年目の今年は、花を咲かせながら太い茎を高く伸ばして、2mを超えている。
花壇やボーダーガーデンの後方におすすめ。
水やり
地植えならほぼ不要。鉢植えにする人は少ないかもしれないが…その場合は土が乾いたらたっぷりと。
肥料
植え付け時にマグァンプ。あとは他の花のついでに発酵油かすをまいたことがあったかな?という程度で、特に何もしていない。
耐寒性・耐暑性
ともに高い。昨年は何も気にせず、夏越し、冬越ししてくれた。
支柱が必要!
高さ1m~2mに育つが、その高さを支えるほどには茎がそれほど強くないので、強風で折れたりするのを防ぐためには支柱があった方がいい。
普通のタチアオイとの比較
道端で見かけた普通のタチアオイと、本品種「アルセア・チャターズピンク」の比較。
八重咲きなので、まるでピンクのバラの花のように見えるのが特徴。
植え付け、成長記録
昨年(2019)5月上旬
苗を購入して植え付け。
ラベルには高さ1.8 m程度と書かれていたので、花壇の最後方に植え付ける。
6月中旬
1ヶ月ちょっとですくすく育ち、大きな葉を出してくる。
花期が「6月~」となっていたので花茎が出てくるのかと思ったが、葉っぱしか出てこない。
8月上旬
さらに葉を茂らせてくる。
株の大きさは既に高さ・幅ともに80 cmくらい。
希望通り花壇の後方でよく育つ形にはなっているが……花茎が出てくる気配がない(笑)。
株元の写真を撮っていないが、この時点では株元から直接細い茎が伸び、その先に大きな葉がついているだけ、という感じ。
タチアオイらしい縦に伸びる太めの茎は出てきていない。
植え付けて1年目は咲かないのかな?
結局、昨シーズンは花壇の後方で葉を茂らせているだけで、花は咲かなかった。
ボーダーガーデン的に、後方で高さを出す役割は果たしてくれたので、とりあえず良しとする(笑)。
翌年(2020)2月中旬
昨年からの葉がだいぶ弱ってきているが、何とか常緑を保ってくれた感じ。
冬は花壇が寂しくなるので、こんな葉でも無いよりは、そこにいてくれるだけでだいぶ助かる。
3月上旬
昨年の葉で黄色くなったようなところをカットして整理し、しばらく待っていると今年の葉が少しずつ出てきて、青々とした感じになってきた!
4月
4月上旬、だいぶ株が大きくなってきた。
「育ってきたのはいいが、結局去年と同じ感じの株姿かぁ…」とか思っていたら、4月中旬、昨年は見られなかった太い茎が縦に伸びているのを発見!
興奮してくる(笑)。
真ん中に太さ4cmくらいの太い茎が出てきているのが分かると思う。
昨年はこの周囲に見えているような、太さ1cmにも満たないような細い茎が株元から何本も出て、その先に大きな葉がついているだけだった。
4月下旬、太い茎はぐんぐん伸びてきて、株の形が変わってきた!
昨年は見られなかった株姿に興奮!
さらに株の頂点付近に、蕾のもとらしきものを発見!
(またはここからさらに茎や葉を展開しようとしている構造なのかもしれない)
5月上旬
さらに茎を伸ばし続ける。頂点付近にはさらに伸びそうな構造が見える。
5月下旬
まさに「みるみるうちに」成長し、5月下旬にはこんな姿になる。
日々、仕事の行き帰りで眺めていて、その成長ぶりに目を見張る。
頂点付近や脇芽部分に、蕾らしきものを発見!
これが本当の蕾かな?
この辺で、「せっかくここまで育ってきたのに、強風でポキンと折れたりしたら悲しすぎるな…」と思い、支柱を導入!
いつも使っているローズフックでは太すぎて支えられないので、麻ひもで軽く結わえておく。
5月末
ついに蕾にピンク色の筋が見えてきた!
この時点では既に身長を超え、2mくらいになっている。
写っている壁の小窓はトイレの換気窓(曇りガラス)なのだが、トイレに入ったときに「窓の外に何か緑色の得体の知れないものが揺れている!」とギョッとしたのを覚えている(笑)。
(咲き進むにつれピンクの影が揺れるようになった)
6月上旬
ついに開花!
花自体はまるでバラのようだが、「木の枝」ではなく「緑の茎」に直接バラが咲いているようで不思議な感じ。
何というか……学芸会などで薄いヒラヒラの紙で、手づくりのバラの花を作ったことがあるだろうか?
ちょうどあんな感じの花がポンポンと咲いている。
数日の間に、次から次へと開花していく。
緑の茎がピンクの花でいっぱいになる! 美しい!
少し引いて撮るとこんな感じ。
さすがにこの高さゆえ、通行人の皆様の目を相当に引くらしく、みんな口々に「すごいね~、綺麗だね!」と声をかけてくれる。
6月中旬……悲劇が!
メインで伸びていた2本の太い茎には支柱を立てていたのだが……。
手前に伸びてきていた茎が、大雨と強風でポキリと倒れてしまった!
花もだいぶ咲かせていた茎だったのでガッカリである。
「そろそろこの茎にも支柱を立てた方がいいかな…?」なんて思っていたのだが、間に合わなかったか…(涙)。
残念だがこの茎は根元からカットした。支柱はお早めに!
支柱を立てたメインの2本の方はさらに成長しながら咲き進む。
高さ1.8 mくらい、とか書いてあったのだが……。
ねえこれ、もう3m近くになってるんじゃないの(笑)?
これだけ高くなってくると、花がら摘みはもう不可能になる。
というか、咲き終わった花は摘まなくても結構ボトボトと落ちるので、それを拾う感じ。「花がら摘み」ならぬ「花がら拾い」ですね(笑)。
「タチアオイの育て方」などで検索すると、「花が終わった花茎は切り戻す」とか書かれているのだが……。
茎の途中の花が終わっていっても、さらに伸びた茎の先に新しく花が付くので、どこで切り戻せばいいのかよく分からない(笑)。
完全に花がなくなるまで放置してみるか……?
おわりに
ラベルのバラのような花に魅かれて衝動買いしたアルセア・チャターズピンク。
この花を買うまで、そもそもタチアオイという植物自体よく知らなかった。
知ってからは、散歩の途中やドライブの途中で道端に植えられている(勝手に繁殖している?)のを急によく見かけるようになった。
人間、そもそも知らないものや興味がないものについては、視界に入っていても意識に入ってこないものなのだなあ…と感じる。
「見えている」が、「観えていない」といったところだろうか。
ガーデニングに限らず、様々なことに興味を持って、身の回りの世界を意識していくことが大事なのだろう。
いろいろなことに興味を持ったり積極的に挑戦してみたりしなくなったら、年齢に関係なく、人生はもう終わったようなものなのだろうな……ということを学ばせてくれたような気がする。
なんか重いことを書いてしまったが(笑)、花壇の後方・素敵な背景として、このアルセア・チャターズピンク、おすすめです!(締めが雑)
(2021.6.9追記)
この後、花が終わって、大きな花茎を切り戻しておいた。
株元には葉が残っていたので翌年も咲くかな……? と思っていたが、結局翌年の春くらいには徐々に姿を消してしまった。
基本的には一度花が咲いて終わりなのかな?
青々とした葉を茂らせているだけの期間を数えれば、植え付けから枯れるまでは足掛け3年の間、花壇を賑わせてくれたことになるので一応多年草のカテゴリに入れておくことにする。
( ↓ 楽天のボタンだけつながってます。おぎはら植物園のページです。そちらには育て方やスタッフのコメントなどが書かれています)