地植えでガーデニングを行う場合にまず検討しなくてはならないのが、花壇の中よりもむしろ「花壇や草花以外の場所をどうするか」ということである。
単に土が露出しているだけの状態だと、どこからともなく種が飛んできて、次第に雑草だらけになってしまう。
わが家では、雑草対策として、そしてついでに季節ごとの花を楽しめる「グランドカバー」(グラウンドカバー)を多数植えている。
この記事では、コンクリートや芝・砂利などとの比較、さらに実際に複数のグランドカバーを植えてみてわかったことをまとめてみる。
(庭だけでなく、花壇内の「草花以外のスペース」の雑草対策にもグランドカバーは役に立つと思います。)
様々な雑草対策の方法
代表的な雑草対策としては、
・花壇以外の場所はコンクリートや砂利(またはクルミの殻とか)で覆ってしまう
・防草シート等で覆ってしまう
・芝生を植える
・芝生以外のグランドカバーを植える
といったところだろうか。
それぞれのメリット・デメリットをまとめてみる。
コンクリートで覆う
メリット…竹などの強靭な植物を除き、一度施工したらまず雑草は生えない。雑草対策としては最強。
デメリット…自然な雰囲気は失われる。夏には照り返しがきつかったりするなどの問題もある。あとコストが高め。
砂利で覆う
メリット…施工は比較的簡単。広さにもよるが個人でもできる(労力はかかるが)。コンクリートで覆うよりは、自然な雰囲気になる。
薄い黄色やピンクの砂利などもあるので、砂利道などとして使えば洋風でオシャレな雰囲気にもできる。
雑草が生えたとしても、深く土に根を下ろさないので抜くのは難しくない。
デメリット…砂利で覆っても、雑草は多少生える。砂利の下に防草シートを敷くことで多少は改善されるが、雑草は砂利の隅にたまったわずかな土でも生えてくる。
クルミの殻などで覆う
メリット…コンクリートや砂利に比べると、圧倒的にナチュラルガーデン的なおしゃれな雰囲気になる。
デメリット…砂利と同様、多少雑草は生える。あと、年月が経つと徐々に自然に還るので、時折追加する必要がある。
防草シートで覆ってしまう
メリット…シートを敷く前に雑草をしっかり除去しておけば、日光が当たらないのでほとんど雑草は生えてこない。施工はシートを敷いてピンで留めるだけなので、砂利やコンクリートよりも簡単。
デメリット…上に砂利などを敷かないと、見た目がよくない。また、年月が経つと劣化して徐々に破けたりした箇所から雑草が生えてくる。安価なものより、多少値が張っても丈夫なものを選ぶ方がよい。
人工芝で覆う
上の防草シートの応用編として、シートの上に人工芝を敷けば、より自然な雰囲気になる。わが家では別の場所には防草シートの上に人工芝を敷いている。
メリット…最近の人工芝は、見た目もリアルなものがたくさんある。10年くらい経つとさすがに張り替えた方がよさそうだが、それまではほぼノーメンテナンス。
デメリット…完全に一年中同じ姿なので、季節感は全然ない。防草シートと組み合わせないと、強い雑草はかなりすき間から生えてくる。防草シートや留めるためのピンなど、そこそこ費用はかかる。
芝生を植える
メリット…グランドカバーの代表格であり、ちゃんと管理された綺麗な庭、という印象になる。コンクリート等に比べて、植物が植えられていると目にも優しいし、夏の照り返しなども軽減される。品種を選べば、芝刈りの頻度もある程度抑えられる。
デメリット…綺麗な状態を維持するには、定期的に芝刈りをする必要がある。また、芝生が植えられていても、雑草はすき間からそれなりに生えてくる。品種や気候にもよるが、冬季には枯れた茶色っぽい姿になるので、常「緑」ではない。
芝生以外のグランドカバーを植える
メリット…植物にもよるが、芝生よりは定期的なメンテナンスが必要ないものが多い。花が咲くグランドカバーであれば、季節の移り変わりも楽しめる。
芝生に比べて、より「ナチュラルガーデン」といった雰囲気になる。品種を選べば、冬でも緑が広がっている状態を保てる。
デメリット…やはりすき間から多少は雑草が生える(ときどき「ピョコン」と生えているのを抜く程度だが)。芝生ほどではないが、美しく保つためには茂り過ぎたときは時々切り戻したりする必要がある。
上記のようなメリット・デメリット(他にもあるだろうが)を考慮した結果、わが家では「芝生以外のグランドカバーを植える」という方針に決定。
頻繁に足を踏み入れる場所には踏みつけに強いものを選び、時折踏み入れる程度ならば花の美しさなども考慮して選んでみた。
主に植物の特徴等をざっと紹介しているので、詳しい成長記録などはリンクから個別記事をどうぞ。
ある程度踏みつけに強いもの
「芝生の代わりになる」、広々とした土を覆うような、まさに「グランドカバー」という感じの植物たち。
頻繁に足を踏み入れる場所に適しているもの。
ダイカンドラ(ディコンドラ)・エメラルドフォールズ
「グランドカバー」などのキーワードでネットを散策すると、飛び石や枕木の間に所狭しと繁茂している素敵な様子の写真がたくさん出てくる。
よほど踏みにじらなければ足を踏み入れても平気で、丸っこいハート形の葉っぱがかわいらしい。
わが家では常緑で、冬には一部が枯れたような感じになったものの、春になるとまた元気な緑色の葉を茂らせてくれた。
後述するシルバーフォールズに比べると水が好きな品種のようなので、しっかり根付くまでは地植えでも水やりした方がいいかも。
現在では、自然の降雨以外は全く水やりをしていないが、元気に育っている。
種からでも育てられるので、広い範囲をカバーしたい場合は種からが安価でおすすめ。簡単なので自分は苗からでしたが。
( ↓ ダイカンドラ・エメラルドフォールズの成長記録の記事はこちら)
常緑ではありませんが…ダイカンドラ・シルバーフォールズ
緑葉のエメラルドフォールズに対し、こちらは葉に細かな毛が生えている、銀葉(シルバーリーフ)の品種。
エメラルドフォールズよりも茎が長く伸びるので、鉢植えなどの寄せ植えにして、鉢から垂らすのも絵になる。
わが家では、冬には地上部がなくなったので「常緑」ではないが、春にはまた元気な姿を復活させてくれた。
エメラルドフォールズに比べると乾燥気味の環境を好むので、水やりはほぼ必要ない(鉢植えならば多少は…)。
( ↓ ダイカンドラ・シルバーフォールズの成長記録の記事はこちら)
リシマキア・ヌンムラリア・オーレア
ライムグリーンの葉が美しい、グランドカバーとして大人気の品種。
冬には紅葉するので「常緑」と言っていいのか分からないが…(笑)。
春になって赤い葉の間から元気な新しい葉が芽吹く様子も、季節の移り変わりが感じられて美しい。小さい花が咲くらしいが、ほとんど目立たない。
繁殖力はかなり高く、そこそこ暖かくなってくると爆発的に広がる。
水草としても使われるほど水が大好きなので、こちらもしっかり根付くまでは多少水やりした方がいいかも。現在では自然の降雨以外は全く水やり不要になっているが。
( ↓ リシマキア・ヌンムラリア・オーレアの成長記録の記事はこちら)
タイム・ロンギカウリス
ハーブの仲間「タイム」のうち、「クリーピングタイム」という這性の種類。
この「ロンギカウリス」は、その中でも特に花つきがよい品種で、春には葉が見えなくなるほどのピンク色の小花で覆われる。
他のクリーピングタイムに比べると耐寒性が高く、わが家では昨シーズン、何とか常緑を保った。
多少は踏んでも大丈夫だが、踏みつけに非常に強い、というほどではないので、時々足を踏み入れる程度のところが望ましい。
夏の蒸れに多少弱いので、春に花が終わったら短めに切り戻すとよい。
春にピンクの花でいっぱいになっているときの様子はこちら。
ネモフィラなどとの調和も美しい。まさに楽園の花園!という感じになる。
( ↓ タイム・ロンギカウリスの成長記録の記事はこちら)
クローバー
雑草としてもおなじみのクローバー。
様々な園芸品種が流通しており、個人的な好みはハルディンの「ティント」シリーズ。
主なグランドカバーとしては、「ティント・ヴェール」と「ティント・ルージュ」を使用。共に普通のクローバーよりも淡い黄緑色で、ティント・ルージュの方は赤い線のような模様が入っている。
( ↓ クローバーの成長記録の記事はこちら)
また、北側の庭の砂利道の終点には、「ティント・ワイン」という、クローバーとは思えないような鮮やかなワインレッドの品種を使用している。
初めのうちは葉の全面がワインレッドで、ある程度成長してくると葉の中心に少し緑色の模様が入る。
もともと雑草なので繁殖力は非常に高く、茂り過ぎたときは多少切り戻した方がいいかも。
降雨だけで十分育ち、株が大きくなってきたら株分けすることでどんどん増やせる。
( ↓ クローバーの株分けの記事はこちら)
踏みつけには弱いもの
人が足を踏み入れる場所ではなく、花壇の中の「草花以外のスペース」を埋めるのに適している植物たち。季節になると花が咲くので、花壇の一員としても活躍。
ベロニカ・オックスフォードブルー
ガーデニング好きならおそらく知らない人はいない、春に無数の青色の小花を咲かせるベロニカの這性品種。
「ベロニカ」といっても穂状の花を咲かせたりするものから、本種のように地面近くで小花を咲かせるものまでいろいろある。
元気に育つが、広がりすぎて困る、というほどではなく、花が終わったら少し切り戻す程度でもわりときれいに保てる。
( ↓ ベロニカ・オックスフォードブルーの成長記録の記事はこちら)
ベロニカ・ウォーターペリーブルー
上記、ベロニカ・オックスフォードブルーの薄紫バージョンという感じの品種。
オックスフォードブルーに比べるとややマイナーだが、やはり旺盛に広がってくれて、花壇の他の草花のすき間を埋めるのにはもってこいではないだろうか。
( ↓ ベロニカ・ウォーターペリーブルーの成長記録の記事はこちら)
ベロニカ・ティダールプール
ベロニカばかり3連発だが、本種はオックスフォードブルーによく似た青紫色の小花を、小さな穂状に咲かせるグランドカバー。
「ティダールプール」とは潮だまりのことらしく、上手に育てると茂っている部分に青い水たまりができているような感じになるらしい。自分はそこまで花いっぱいにできていないが…(笑)。
( ↓ ベロニカ・ティダルプールの成長記録の記事はこちら)
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アジュガ
これもガーデニングをしている人ならわりと誰でも知っているが、興味のない人には名前も知られていないだろう。
春になると高さ15 cmくらいの紫やピンクの花穂を立てて、冬の終わりを告げてくれる。
様々な品種があり、その中でも特に「チョコレートチップ」という品種が、花穂の数も多く繁殖力も旺盛で人気が高い。
( ↓ アジュガの成長記録の記事はこちら)
リシマキア・リッシー
上で書いた「リシマキア・オーレア」は草丈3 cm程度で本当に「グランドカバー」という感じなのに対し、こちらは多少高さが出る(10 cmくらい)。
芝生代わりというよりは、小さな「茂み」という感じになるので、シンボルツリーの下草や花壇の一角などにおすすめ。オーレア種に比べると、踏まれるのには強くなさそう。
オーレア種よりもはっきりとした黄色い花(3~4cmくらい)が咲く。
( ↓ リシマキア・リッシーの成長記録の記事はこちら)
タピアン
花苗で有名なサントリーのグランドカバー。
草丈は5㎝程度だが、花は少し茎をのばして高め(15 cmくらい)に咲く。
ブランド苗なのでさすがによく育つ。
花期が長く、冬を除いてほとんど1年中、かわいらしい花が咲き続けるのも魅力。
わが家では薄紫の「ラベンダー」色を育てているが、薄いピンクや濃いピンク、濃い青紫色など色のバリエーションもある。
( ↓ タピアンの成長記録の記事はこちら)
複数のグランドカバー植物の争い
いくつかのグランドカバーを混ぜると、境界線上では争いが起こる。
現在までのところ、どれかが他を駆逐したりはせず、それぞれの領域を守っているという感じ。
ランナーや地下茎で増えるものが多いので、はっきりと「ここからここまで」のように領域を制限したければ、まめに境界線上だけは切り戻して整えたりするか、または芝止め(根止め)などの処理をしたりするといいだろう。
( ↓ 複数のグランドカバーを植えたときの様子はこちら)
庭全体の様子
庭を上空(2階の窓)から撮ったときの様子。
芝やコンクリートで覆うのと比べると、かなりナチュラルガーデン的な雰囲気になっているのではないだろうか。
これだけびっしりとグランドカバーが茂ると雑草はほとんど生えないので、管理も楽である。
写真左側、バラの下に見えている黄緑色のリシマキア・オーレアと真ん中のクローバーの間に茶色の筋があるのは、やや茂り過ぎたクローバーを境界線上で抜いたため。
リシマキアの領域をもう少し広げたかったので、露出させた土の上にリシマキアの葉を多少誘導しておいた。
この後1ヶ月もすると、茎を伸ばしてすっかり黄緑色の葉で覆ってくれる。
「このへんまで〇〇の領域にしようかな…?」などと考えた際には、こんなふうに調整するのも比較的容易、かつ楽しい。
おわりに
グランドカバーのまとめ記事を書いてみて、われながらずいぶん多数のグランドカバーを植えているものだと思う。
どれか一つに決められず、園芸店で見かけるたびについつい新しい苗を買ってしまう優柔不断な性格ゆえである(笑)。
結果として、この記事のように様々なグランドカバーを紹介できたので、どれを植えようか迷っている方のお力に少しでもなれるようであれば幸いである。
ナチュラルガーデンをつくりたい方は、グランドカバー植物、ぜひおススメですよ!
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